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コラム

檸檬とハヤシライス。丸善京都本店のこと。

 

京都人はコーヒーが好きです。
老舗の喫茶店があったり、
個人で喫茶店を開く若者がいたり。
京都には、独特の喫茶文化があるような気がします。
もしくは、昔はどこの街にもあった風景が、
まだ残っているのかもしれません。

とはいいつつ、私の行きつけは、なんだかんだスタバです。
事務所の近くには、烏丸三条と烏丸六角にスタバがあり、
気分転換に出かけていき、こうやって原稿を書いたりしています。

今日は、六角のスタバ。
隣にある六角堂が見えるようになのか、一面ガラス張りになっていて、

六角堂がショーケースに入っているような、
いや、
ショーケースに入っているのはスタバのほうか。
不思議な場所です。

さて、最近、梶井基次郎の「檸檬」という文庫本を電車の中で読んでいます。
京都の丸善が登場する短編小説」として、私のなかにはインプットされています。
よく、そうやって、丸善京都本店を紹介する文章にも書いてあります。
私も書いた記憶があります。
それなのに、読んでなかったのです。
ごめんなさい。

そのことを、先週、丸善へ行って思い出しました。

京都BALの地下1階と地下2階にある丸善京都本店。

1階からエスカレータを下りていくと、書棚が並んでいるのが上から見られて、
ここの広さがよくわかります。
大きな大学図書館のような、アカデミックな雰囲気が好きです。

京都の丸善は、1907年に、現在の場所よりもちょっと西の場所=三条麩屋町で開店しました。
(その後、移転し、2005年に閉店→2015年に復活)

1907年は明治40年。「檸檬」が発表されたのは、1925(大正14)年。
そのころの京都のことが書いてあるのかな?と思って読み始めたらビックリ!

5ページから始まって、13ページで終わってしまいました。
短編小説とは聞いていましたが、そんなにあっという間とは。
そんなことも知らなかった自分にもビックリ。

何やら欝々とした感情を抱えた「私」が、
二条寺町あたりの八百屋さんでレモンを買って、
三条麩屋町(たぶんね)の丸善に置くのです。

「そうか、8ページ分くらいのことかな」とも思いました。
絶妙に。

梶井基次郎は昭和7年に31歳で亡くなっています。
大正時代の初めの若者って、こういう一面があるのかと、
ぼんやり、そんなことを思っています。

もちろん、この文庫にはほかにも短編小説が入っていますので、
続きを読んでいるところです。

ふたつめは「城のある町にて」です。

正直、まだ面白さが分かりません。

が、読書百遍。

分かるまで読まないと、一生分かりません。

 
さて さて、

丸善に行った日。本を2冊購入し、地下2階にあるカフェでお昼ごはんを食べました。

丸善の創業者・早矢仕有的(はやしゆうてき)が考案したと言われている(もちろん諸説あり)
ハヤシライスです。

私が食べたのはオムハヤシ。サラダ付きで1200円ほどでした。
色は茶色が濃いめです(写真は実物よりも赤くうつってしまいました)。
見た目通り、コクがあって、ほのかな苦味も。
ちょっと大人なというか…。

そう!アカデミックな紳士が、ピンと背筋を伸ばして、優雅に食べていると似合いそうでした。

元祖の味を再現しているそうです。
明治・大正のモダン洋食を思いながら、ひとりで背筋を伸ばしたのでした。

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