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コラム

プリンが好きすぎる問題@御多福珈琲

疲れたり、行き詰ったりすると、プリンを食べる。これが私のルールだ。理由はプリンが好きすぎるから。油断すると朝ごはんにプリン、食後にプリンと、プリンばかりを食べてしまう。物心ついたときから、そうやってきたせいで、なんだか体がプリンのようにプルプルしてきた…。いくらなんでもこのままでは、体の内部にも悪いんじゃないか? そう思ったのが、16年前。就職が決まらず困りはてていた時だった。そこで、「そうだ就職が決まるまでプリン断ちをしよう!」と私なりにプリンとともに退路を絶った。ところが、その数日後、知人の家に行くと、超特大手作りプリンでのもてなしが…。これは食べざるを得ないじゃん、となってすぐにプリン断ちはおわったのだけど、なんとその翌日、履歴書を送った会社から電話が! プリンの神様、ありがとう。しかしそれからずっと乱用はダメ!ぜったい!ってわけで、「日常のおとも」「ごはんのかわり」から「自分へのご褒美として食べる、とっておきの存在」に昇格したのです。

とはいえ、プリン愛は変わらない。あまりのしんどさに3個100円のあまーいぷっちんプリンに癒やされるときもあるし、卵の味がちゃんとするとろける~なプリンもが私を慰めてくれるときもある。入院して手術をした翌日。看護婦さんが「プリンのようなやわらかいものから」というので、「ケーキ屋さんのプリンを買ってきて」と夫にお願いしたのに、スーパーの味の薄い、かたいプリンを買ってきたときには、「申し訳ないけど、これは違う」と、出直してもらった。こんなわがまま、手術後でもないと聞いてもらえない。とにかく心の友、人生の相棒、なのだ。シチュエーションにあったプリンが食べたいのだ。

現在、そんな私のプリンランキング1位に燦然と輝いているのがこれだ。たまらず写真を撮る前にひと口食べてしまったよ。寺町四条下ルにある「御多福珈琲」のプリン。まずはこの美しい立ち姿を見てごらん。銀色の器に、自身の重みか、少し膨らんだようになって立つこの姿がそそる。そして、なみなみと注がれたカラメルソース。カラメルの海に、ふわりと立つプリン…。ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」みたいじゃないか(あぁ、好きすぎてる)。

そして味。プリンは甘さ控えめのさっぱり系、なぜなら、コーヒーと一緒に味わうのが前提だから。そしてカラメルがいい。さらりとしていて、液体っぽいのだが、これがほどよく苦い、でも苦すぎない。そして少し甘い、でも甘すぎない。さっぱりめのプリン本体が、カラメルを纏うと、全体的に少しビターな、優しい味わいになる。そして、コーヒーをひと口、また飲みたくなる。

コーヒーはもちろん美味しい。そして「当店自慢のブレンドコーヒーです~」といってニッコリコーヒーを出してくれるマスターが、上手に常連さんとの会話に混ぜてくれる、そのフンイキも楽しい。だが、行けば、このプリンを食べずにいられない。だからおのずと、店に行く回数が減ってしまう。なぜなら、「つらいとき」しかプリンを食べられないから。でもあの店には行きたい。でも行ったのにプリンを食べないなんてできない。最近では、いつかこのプリンを超えるプリンに出合ってしまったらどうしようと思ったりもする。こんな心の葛藤、幸せな悩み、だな。