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コラム

祇園祭はどこに

祇園祭というくらいだから祇園でやるんだろう」。なんのためらいもなくそう思い込んでいた。関東から関西に越してきたばかりだった去年の7月、京都で買い物をした帰りに祇園祭の〝飾り〟が見えるかと思って、四条大橋の京阪電車の入り口から八坂神社のほうを見やったが、それらしきものが見つけられない…。それでその時は結局そのまま帰ってしまった。
どうやら祇園祭が八坂神社のお祭りであることは確かだが、主に烏丸通のあたりから堀川通の少し手前くらいの四条通を中心としたエリアに、私が想像した祭りがあるらしい。祇園からは少し離れているところ、しかも見た方向は反対だったのだ。
そして今年。宵山が始まる15日。歩行者天国となる夕方の少し前に、室町通や新町通を歩いてみると、狭くて細い道のあちこちに豪華な山や鉾が建っていた。準備中の出店が並び、浴衣を着た人が歩いている。山鉾に並んで吊るされた提灯飾りはまるで壁のようで、通りをぬけていく風や人の流れをせき止め、祭り本番に向かって賑わいを溜めているみたいだ。そしてその熱量はどんどん高まっているようにも見えた。こんなところで京都の夏がゆっくりと始まっていたなんて。てっきり納涼床がある涼しげな鴨川付近でお祭りがあるとばかり思っていた。空に向かってしゅっと伸びていく、鉾の屋根を見て、不思議なかたちだなと思う。私の知らない、西の夏が来た。(アシスタントM)