shop & event

店と催し 雨露

Writer’s NOTE 2023「ライター・編集者のワークライフバランスをどう考える?」座談会レポート(後編)

 

現役ライターや編集者が集うワークショップWriter’s NOTE。2023年前半の催しは、「ワークライフバランス」についてのディスカッション。京都を中心に活躍するライター・編集者、4人が集まって、どうしたらバランスってとれるの?? 現在の悩みや、今後の改善点など、たっぷり話し合いました。後編からは田中さんも合流しました。

前編はこちら-

 

《参加者》
江角悠子さん/ライター・編集者(京都くらしの編集室)。ライター歴17年。ライティングスキルの講座やサロンも開催。同志社女子大学非常勤講師

永野香さん/編集者・ライター(有限会社アリカ)。今年設立20周年を迎えた編集プロダクション、アリカの創立メンバーの一人

田中和彦さん/ライター 株式会社コミュニティラボ代表。不動産業を営みつつ、不動産関連の執筆も行う ※後編から合流

瓜生朋美/ライター・編集者(株式会社文と編集の杜)。ライター歴15年。2013年に文と編集の杜を設立

(記事中は敬称略)

 

■「休みます」って言いづらい?

 

子どもがいるとか、いないとか。結婚しているとか、していないとか、男とか女とか。どんな職業かとか。そんなこと関係なくみんな、ワークライフバランスは整えたいわけだから、休むのに理由は関係ないんですよ。遊びでもやむを得ない用事でもいい。ライターではないんですけど、会社でお子さんがいる人はどうしても休みとらないといけないことが多くて、独身の人が代わりに出勤しなくちゃいけなくなるって話を聞きました。
瓜生
瓜生
永野
永野
独身の人は、親戚の集まりとか関係ないと思われて、お正月とかの勤務を任されてしまうんですよね。
田中
田中
女性とか、独身の人にしわ寄せはありますね。逆に子どもがいる人は、子育てとかで仕事を休むからって、重要なポジションにつけなかったり、出世できなかったり。お互いに困ることがあったような気がしますね。

 

 

そういうの関係なしに仕事ができたらいいんですけど。
瓜生
瓜生
永野
永野
24時間365日あいている店もあるじゃないですか。働く人の健康や社会生活を送るうえでの支障を考えて、週に1日は店を休みにするべき、っていう意見を聞いたこともあります。
休むときは、みんな休まないと。
瓜生
瓜生
田中
田中
自由な時に、自分で休みをコントロールできるようになるといいですよね。休みを会社が決めるのっていうのは、休むための第一ステップとしてあるけど、その次にはみんなが好きな日に休めるようになるっていうのがあると思います。
ワークライフバランスの問題ではないかもしれないけど、休む意識ってどんな仕事の人にも必要なんですね。
瓜生
瓜生

 

■仕事の“やりくり”とワークライフバランス

 

ライターに限って考えると、ワークライフバランスを保つためには、計画性が必要で、そのためにはスケジュールと、お金の確保が重要。適正な納期で、適正な料金の仕事。仕事を選ばねばなりませんね。
瓜生
瓜生
永野
永野
仕事を選ぶっていうのは、ワークライフバランスのキーワードかもしれないですね。
江角
江角
私はフリーランスっていうこともあって、コントロールできているので、快適ですし、納得できています。全部自分で決めるのは大変ですけど。
田中
田中
“特急料金”ってありますよね。予定より早い締め切りを頼まれる代わりに、料金をあげてくれるっていう。ライターの仕事もそうなればいいな、と思います。
たとえばリフォームの工事しますとなって、いつまでですかって、5月末までにやってくださいって言ったらいくら。でももっと急いで工事やってて言ったら、やってくれるけど料金って絶対上がるんですよね。特急料金。だから本来ライターの仕事も明日あげてって言ったらやるけど、料金アップはあっていいと思います。むしろ特急料金だからやりたいって思う人がでるかもしれない。
それ、いいですね。広めていきたい!
瓜生
瓜生
江角
江角
やっているライターさん、いましたよ。
永野
永野
うちの会社では、仕事終わってからでも、当初の話より手間や時間がかかれば値上げ交渉することもあります。
江角
江角
やってみて、わかることもありますものね。
永野
永野
予定していた話と違ったので、ご考慮くださいって。正当な主張はして、いただけるときはいただいています。

 

■仕事以外の予定も大切にしよう。

 

うちは会社にしているので、私が取材に行くもの、若いスタッフが行く取材と分けています。
瓜生
瓜生
田中
田中
その世代だから、その人だから書けることってありますよね。
そうですね。場の雰囲気に合うかどうかとかもありますから。
瓜生
瓜生
永野
永野
年齢に合った仕事をすることも大事ですね。そのためには、自分のインプットが大事。それが今、自分には足りてないなって思うところです。
何の役に立つかわからないけど、仕事以外の活動も大事ですよね。お茶の稽古とか運動とか。それも含めて、予定を詰め込みがちなんですけどね。
瓜生
瓜生
永野
永野
忙しいって言いながらも、本当に自分の好きなことはやっちゃっているんですよね。結果的にはそれが、自分の人生を豊かにしてくれているし、至福の時間なんです。
この時間までに絶対仕事終わらせよう、みたいな動機になりますよね。
瓜生
瓜生
田中
田中
僕は、自分のスケジュールは、先に全部入れますね。そのうえで、自分の予定がない日に仕事を入れています。
江角
江角
私も一緒で、先に入れます、私の予定。せっかくフリーランスなので、平日に遊ばないと(笑)。
旅行とか行っている間、仕事はしないんですか?
瓜生
瓜生
江角
江角
パソコンは持って行って、メールとかはやっていました。

 

 

田中
田中
コロナに入ってから、ワーケーションってあるじゃないですか。それが広まる世の中になるだろうと思って、積極的にやるようにしていて。もし疲れても、顔を上げたら海がある、とか贅沢ですよね。現場に行かないといけない仕事の調整だけは先にするんですけど、それ以外のものは持って行ってます。
どんな会社に依頼しようかなってとき、その会社がどんな雰囲気なのかって意外と気になると思うんです。ワーケーションとか、みんなで何かやるとか、どこか行くとか、いろいろなこと、楽しそうにやってる会社だと思われたい(笑)。
瓜生
瓜生
田中
田中
行ったら経験値も増えますしね。
若い世代には、積極的に経験値を積む機会を設けることが大事だと思いますね。
瓜生
瓜生
田中
田中
経験したなかから、自分にしかできないことを見つける、ですね。
自分たちでどんな方向に行きたいか、決めればいいんですよね。江角さんすごいなって思うのが、自分でちゃんとお仕事も選んで、大学で教えたり、ステップアップしている。それで、自分の欲しい分だけの仕事量が確保できている。ちゃんと「これやりたい」「これやれる」っていうのを持たないとなって思います。
瓜生
瓜生
永野
永野
結局そういうことなんですね。大きな課題を与えられたわ。

 

■ワークライフバランスを整えるためには

 

少し、話が変わっちゃうかもしれないけど、他人の仕事を振り回さない努力を自分もしなきゃいけないと思う。自分が働いているからあなたも働いて当然みたいな空気じゃなくて、あの人の会社は6時までだから、返事は来なかったからと言って、「返事来ない」って思わない。次の出勤の時に返事してくれたらよいはず。急に明日入稿とか言わない。もちろん相談はしてきてもらっていいと思うし、事情もあると思うけど、しわ寄せの原因はどこにあるのかなって。その疑問には納得したい。「なら、仕方ないね」って。結局は、思いやりの問題だと思うんですよ。尊重し合うというか。そうじゃないと変わっていかない。
瓜生
瓜生
永野
永野
それをやっぱりみんなに認識してほしいですね。そうすると自ずと、締め切りの設定とかも変わってくる。
江角
江角
何とかするけどお金はかかりますよって交渉ができるとか。
“安くて早くて上手い”にはなりたいわけじゃない。
瓜生
瓜生
田中
田中
やっぱり自分にしかできないことを見つける。表現方法も、仕事の中身とかも。結局そのほうが、自由で高単価になるんです。ですから、自分独自のを出せないかっていうのは、真面目に考えていますね。
納期やスケジュール、料金の交渉ができるかも、それにかかわってますよね。
瓜生
瓜生
永野
永野
それと、思いやりですかね。
江角
江角
チームの意識、持ちたいですね。
細かい工夫はいろいろあるとしても、目指すところとしては、対等なパートナーとして仕事を進めることが必要で、それには自分の考えをしっかり持って、相手と共有する努力をして、交渉すべきことはする、これが今日のところの結論ですね。
瓜生
瓜生

 


 

Writer’s NOTE ワークライフバランスについての小さな提言 20230414

●仕事は対等なパートナーがチームで取り組むものと認識する

●時間、料金、仕事内容(ボリューム)を事前にきちんと確認・交渉もする
(〇営業日、特急料金などのアイデアを参考に)

●交渉力をつけるためにも、自分の専門性を高める

 

《編集後記》
どれも言われてみれば当たり前の内容ですが、できてなかったと感じました。ワークライフバランスは、個々人で違って当然。大事なのは自分の軸を定めること、というのが今回の学びでした。今後もライターや編集者のワークやライフについて、考えていきたいと思います。参加してくれた皆様、ありがとうございました!(文と編集の杜 瓜生)

- instagram -