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Writer’s NOTE 2023「ライター・編集者のワークライフバランスをどう考える?」座談会レポート(前編)

 

現役ライターや編集者が集うワークショップWriter’s NOTE。2023年前半の催しは、「ワークライフバランス」についてのディスカッション。京都を中心に活躍するライター・編集者、4人が集まって、どうしたらバランスってとれるの?? 現在の悩みや、今後の改善点など、たっぷり話し合いました。

 

《参加者》
江角悠子さん/ライター・編集者(京都くらしの編集室)。ライター歴17年。ライティングスキルの講座やサロンも開催。同志社女子大学非常勤講師

永野香さん/編集者・ライター(有限会社アリカ)。今年設立20周年を迎えた編集プロダクション、アリカの創立メンバーの一人

田中和彦さん/ライター 株式会社コミュニティラボ代表。不動産業を営みつつ、不動産関連の執筆も行う ※後編から合流

瓜生朋美/ライター・編集者(株式会社文と編集の杜)。ライター歴15年。2013年に文と編集の杜を設立

(記事中は敬称略)

 

■四六時中連絡がくるのは、今の時代やむなし!?

 

江角さんはお仕事する時間を定めて、メールに対応時間書いていますよね。それって最初からですか?
瓜生
瓜生
江角
江角
いえいえ。金曜の夜に仕事を振られて、月曜に原稿提出とかって言われたり、夕飯時に電話かけられても、対応できなくて。何とかしたいなと思ったのがきっかけです。
会社なら、電話かけて今日はもう終わりですって言われたら終わりですけど、フリーランスはそれがつらいところ……。
瓜生
瓜生
永野
永野
携帯が普及してからは、夜に会社に電話がかかってきて、『もう今日は退社しました』って言っても、携帯にかかってきちゃったりしますよね。
大緊急なら仕方ないですが、自分のペースと人のペースが違うことをわかってもらいたい!!
瓜生
瓜生
永野
永野
休みの日には、メールを応答しないっていうことを、やろうとしているんですが……。金曜日の夜に連絡もらって月曜日に返事しようと思っていて、うっかり忘れたりとかしたら嫌だなと思ったりするとついつい返事してしまいません?

 

 

江角
江角
わかる!
永野
永野
見ないようにしてても、スマホで見えちゃうんですよ。この間、お茶のお稽古の最中に、スマホでちらっとメールを見てしまって。ずーっと気になりました。返信できないんだから見なければよかった。
でも確かに気になりますよね。私は、送信するときにメールのタイマー機能を使うことがあります。夜とか、長期休暇のときにメールが来るともらったほうも気になるかなと思って。営業日の朝に送信するようにセットして。
瓜生
瓜生
江角
江角
予約できるんですか?
gmailはできますよ。本当に送ってるのかなと心配になったりしますけど(笑)
瓜生
瓜生
江角
江角
今、メッセンジャーとか、LINEほかのツールでも連絡が来るでしょう。既読がついたりして読んだとわかる。見たけど返事できてないっていうのは気になってしまいます。
そう! スマホを見ないってなかなかできないですよね。でも“見ない”と強く思うことも必要な時代なのかも!
瓜生
瓜生

 

■そもそも……“ワーク”と“ライフ”の在り方について、どう思う?

 

永野
永野
そもそもなんですけど、ワークライフバランスっていう言葉が、実はちょっと違和感があって。仕事とプライベートってバランスをとるものなのかな。よく「仕事と育児の両立はどうしているんですか」と聞かれるんですけど、両立というか普通に存在するもの。ワークとライフは本来、対立するものではないんじゃないかな。仕事は生活の一部として入っている感覚です。
なるほど。それって、フリーランスや経営側の視点かもしれませんね。会社勤めだとまた考え方が違うのかも。でも、子どもがいるために、仕事に制約をかけないといけないっていう、ネガティブな気持ちとかありますか?
瓜生
瓜生
永野
永野
私はあまりないんですよ。もちろん土日に子どものイベントとかがあって、仕事が受けられないこともあったんですけど。私は子どもが一歳くらいのときから、家族が協力してくれて、泊まり出張とかも行っていました。それは夫が「行ってきたら」って言ってくれたから。そうできない人もいると思います。
江角さんのお子さんは、何歳ですか?
瓜生
瓜生
江角
江角
うちは、中3と小3になりました。だからだいぶ自分の時間ができてきました。子どもがいなかった頃は24時間体制で仕事をやっていて、すごく消耗していました。ですから、子どもができて思うように働けなくて、イライラしたこともありましたけど、規則正しい生活ができるようになって体が楽になりました。私は子どものおかげで人間らしい暮らしができるようになったと思っています。朝起きて、夜寝る、土日は休むっていうのは、すごいいいなって。
まさにライフイベントが人生を変えたんですね。仕事のやり方も、ずっと同じなわけないですよ。状況や考え方の変化に伴って変わって同然。
瓜生
瓜生

 

■なぜ、働きすぎてしまうのだろう?

 

みんなどのくらい仕事やっているんでしょうね。
瓜生
瓜生
永野
永野
私は働く時間、出勤簿を付けていますから、月何時間働いたかわかりますよ。先月だったら190時間ちょっとです。
一日8時間働いて、ちょっとずつ残業もしてるってことですよね。
瓜生
瓜生
永野
永野
瓜生さんは、もっとすごい働いてると思う。
いやいや。どうでしょう。少し仕事を受けすぎかもしれないとは思います。でも、受けるの減らすのもちょっと怖いんです。一旦受注ってなっても、延期したり中止になったりもするじゃないですか。予定通り請求して入金があるとは限らないので、結果的にちょっと多いくらい受けておかないと、って思ってうけると、ピークが重なって、てんてこまいになったりします。
瓜生
瓜生

 

 

江角
江角
テトリスのブロックみたいに、いくつもの仕事を調整してくの大変ですよね。
私が原因なこともあると思うのですが、だいたいは予定より遅れ気味。だから、納期、ボリューム、原稿料を最初に確認することが大事ですよね。思ったより作業時間かかるとか。わりとはっきりしないで話が始まることもあるし。
瓜生
瓜生
江角
江角
それを言うのは当然ですよね。私は最初にしっかり全部聞くようにしてます。
締め切りが日曜日に設定されていることもありますよね。先方の方は月曜日に出社して御覧になるのでしょう(笑)。
瓜生
瓜生
江角
江角
私は絶対、締め切りが何時っていうことも確認します。何日までって言っていても、24時までって思っているかもしれない。
永野
永野
私の会社からお願いするときには原稿の締め切りを、案件によっては、何日の何時ってお伝えするようにしています。何日って言っちゃうと、その何日は24時間あるわけだから。人によって違いますもんね。それと、最近クライアントさんで、何営業日後っていう言い方をしているところが増えてきましたね。
私も最近その言い方にしました。営業日って会社によって違うので、弊社の営業日換算。前は、“1週間後”というような言い方してたんですけど週休二日だと5日しかない。でも7日あるように感じてません?そのやり取りは最初にします。できるだけ予定通りにすすめられるように。
瓜生
瓜生
永野
永野
仕事を一緒にする人を、対等なパートナーとして認識することですよね。片方の都合だけで、曖昧なオーダーをしないようにしないと。
江角
江角
そう、パートナーと思ってくれていたらいいですよね。
永野
永野
いろんな人の力を寄せ集めて、一つの媒体をつくっている。対等な仕事仲間っていう風に認識して、みんなが気持ちよく仕事できることって大事ですよね。
江角
江角
チームです、チーム。
永野
永野
それをやっぱりみんな、認識してほしいですよね。そうすると自ずと、締め切りの設定とかも、お互い納得して進められるようになるかな。

 

後編に続く―

 

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