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店と催し 雨露

【オープン!オープンデイ便りその10 株式会社文と編集の杜】

すみません、うちです(笑)。

昨年の今日、私はパリにいました。北京経由でパリに行って、その後ミラノに行って、スリを捕まえそこないました(手首まではつかんだのに…!)。

今ではそんなこと、夢のような話です。

ヨーロッパに行く、1カ月半前、私はニューヨークに行きました。

理由は、書きかけの文章を書き上げるため。というか、書くのかどうかを見極めるため。
テーマを決めて、2016年にニューヨークに行って取材をしたものの、一つのお話にまとめる術が思いつかず、そうしているうちに情熱の温度が少し下がって、保存状態に入ってしまっていました。

書くの? 書かないの?

それを決めないとと思い、迷ったら現場というわけで、ニューヨークに行きました。
ニューヨークの空気を吸ったら、すぐにスイッチが入りました。不思議なところです。
ニューヨークの温度に自分の気持ちを戻して、帰りの飛行機から書き始めたのが、「Untraveled―ニューヨークが、ジャズシンガーにしてくれた―」です。

10年ほど前に取材を通じて知り合ったシンガー・深尾多恵子さんの20年の歩みを取材した本です。
外国で、外国語で、外国の文化の歌を歌うということが、いかに大変なことか。
そして、音楽というのは国をこえて、人種をこえて共感できるもの。

その二つは一見矛盾しているようですが、ニューヨークのジャズクラブで歌う彼女を見ると、ゾゾゾとするくらいに分かります。

どうやってニューヨークでジャスを歌うようになったのか。は書いたつもりですが、
どうやったらニューヨークでジャズが歌えるようになるか。は書いていません。

彼女と同じようにやっても、それができるかどうか分かりません。
まだ歩いたことがない=Untraveled(アントラベルド)な道をどうやって進むかは、自分次第。
ジャズでなくても、歌でなくても。
何か目指すものがある人も、ない人も。
どんな人のどんな毎日にもあるUntraveledな道を、切り拓く少しの勇気になれたら。
いつだって、誰だって、確定した未来があるわけではなくて、Untraveledな道の途中にいるのだと、思います。

とは言え、出版してくれる会社はないと思ったので、2019年6月29日、自分の会社から出版しました。それゆえ、書店では売っていません。私が手売りしています(笑)。文と編集の杜HPからもご注文いただけます。(販売ページ https://bhnomori.stores.jp/ )

あ、宣伝が過ぎましたね(笑)。

立派な出版社から出ている本に比べたら、小さな本かもしれません。が、私はとても気に入っています。書いてよかったな、出してよかったなと。私の人生の歩みの中にも、この本が刻まれました。もちろん「店と催し 雨露」で販売しています。オープン!オープンデイにいらしたら、手に取ってみてくださいませ。

 

(写真・文 ちくしともみ)

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