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コラム

着物、始めました。初めてのお誂え。

本当は去年するんだったんです。
1年ほったらかして、いや、気持ちを温めて?着物への扉を開きました。
「こだなや」さんへ行き、浴衣をオーダーしたのです。
オーダーと、洋風に言いましたが、正しくはお誂え。
あぁ、なんて素敵な響き。
6月下旬に出来上がる予定です。

まず、浴衣の生地。白地に紺とかのシュッとした柄も素敵ですが、
今回選んだのは、少しクリーム色の地色にピンクやブルー、紫色の大輪の花が咲いている華やかな柄。

シュッとした柄は、もっと年齢が行ってからでも色っぽく着こなせるような予感がして…。
帯も少し落ち着きがあって、でも爽やかなブルーで合わせてもらいました。
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身に着けるものは、「今着られるのはどんなものか?」をいつも考えます。
この浴衣は私の40代の夏を彩ってくれる予定です。

ところでなぜ、去年着物を始めたいと思ったかというと、
若い時はモノトーンばっかり着ていたのに、年を重ねるにつれて、カラフルな色使いや大胆な柄に興味がわいてきました。
そんな気持ちで着物を見たとき、色の組み合わせ方、洗練された図柄。
日本の美が詰まっているんじゃないか!と気が付きました。
まずは浴衣、そして着物にも挑戦する予定です。

私の趣味は海外旅行です。
イタリアに行くと、スーツをパリッと着こなした紳士がいたり、
発色の良いワンピースをさらりとまとった女性が街を歩いています。
かっこいいなぁと、憧れていただけでしたが、
そりゃそうです。彼らはずっとずっと昔から洋服を着ているのです。
一方我々が洋服を着始めたのは、この130年くらいのことでしょう。
着こなし面では、なかなか追いつけないのも仕方のないこと。
でもでも、着物の文化は、私たちの得意分野、なはず!
よっしゃ、ここは、私にも日本の文化を受け継げるぞ!
いつか、着物を持ってヨーロッパへ行って、日本の着物、素敵でしょ。って教えてやるんです。

とはいえ、安い買い物ではありません。
どうして、今日、踏み出せたかというと、この着物の柄に運命を感じたのです。大げさに言うと。

私が中学生の時に、父の姉、つまり伯母が亡くなりました。
この伯母と私はとっても仲良しでした。
お弁当屋さんをしていた父の実家では、伯母は配達を担当していて、
一緒に配達に出かけるのが私の楽しみでした。

昔バスガイドをしていた伯母は
「次はどこへ行くの?」と聞くと、
「次は~次!」と演歌調に歌ってにっこり笑っていました。
お味噌汁の匂いが充満したシビックに乗って、420円の日替わり弁当を配達しました。亡くなる4日前までそうやって過ごしました。

その伯母にもらった浴衣の柄が、今日買った浴衣の柄によく似ていたように思います。
「と、思います」というのも、伯母が亡くなったとき、私はその浴衣を伯母に返しました。
伯母はその浴衣を着て、天国へ旅立ちました。
だから本当はもうよく覚えていないのです。
でも何となく、こんな大きな花の絵が描いてあったと思います。
中学生の私にはちょっと大人びた柄でしたが、その背伸びした感じが、とても気に入っていました。
その浴衣にまた出合ったような気がしたのです。
運命というか、ご縁というか。「この柄好きでしょう?」って言われたような。

浴衣が出来上がったら、まずは、その着方を勉強して、祇園祭にいこうと思います。
着れるようになるかが、次なる問題です。

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