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コラム

「百万遍さんの手作り市」に行ってきた

 

知恩寺で毎月15日に開催される手作り市。京都各地の手作り市の先駆け的な存在がこの「百万遍さんの手作り市」なのだとか。「人気の店はすぐに売り切れるから午前中に行くといいよ」と知人に聞いて、午前10時半に到着。「手づくり市」と描かれた真っ赤なのぼりの脇を通ると、境内にひしめきあうように並んだ店、そしてそれを物色するたくさんの人が目に入った。食べ物、洋服、アクセサリー、うつわ、文房具やインテリア雑貨など、ジャンルもテイストもさまざま。早速、門をくぐってすぐ左手にあったパン屋の行列に加わる。「紅大豆入りリュスティック」をひとつ買う。ドライフルーツ入りでずっしり重い。そのほかにも焼き菓子、ハチミツ、ちりめん山椒……。人の間をすり抜けてぐるぐると回っていると、いろいろな食べ物の店があった。梅雨のこの蒸し暑い空気に後押しされて、レモネードやアイスコーヒーを売る店がひときわ繁盛していた。
ハーブティーを売っているフランス人の女性に出合った。その方によると「よもぎ茶」がおすすめということ。「よもぎはとにかく万能で、心を静めるというよりも元気を出してくれるから、夏ばてとかにはぴったり」だという。ひと口いただいたら、思いのほかすっきりとした口当たり。亀岡で収穫したよもぎを使っているのだそう。今日2つ目のお買い上げはこのお茶にしよう。
それから食べ物以外で気になったのは洋服。ある店で見た、衿付きのチャコールグレーのブラウスは、シンプルなのになぜだか、印象に残った。若手の作家さんの作品らしい。これが手作りの魅力か。食べ物も、それ以外も、何だって1点もの。作り手の気配が込められていて、ひとつひとつが特別。その気配に心動かされて、宝探しをするように店を巡った。まるで子どものころに読んだ『魔女の宅急便』のキキが行った青空市みたい、なんて思いながら。汗だくで。(アシスタントM)

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