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【活版夏まつり特別編集-京都活版MAP-】「木目によるかすれも、木活字ならではの味わい」LETTERPRESS a lot

地下鉄「国際会館」駅を降り、岩倉川に沿って少し北へ。「LETTERPRESS a lot」は山口和佳さんが自宅で営む工房です。「うちの特徴は木活字で、4つ切りまでのポスターを印刷できること」。棚の引き出しを開けると、大小さまざまなアルファベットの木活字が並んでいます。「中には100年前のものもあるんです。長く使われていたためインクが染みていたり、傷がついていたり、割れていたり。印刷したときに木目がかすれることもありますが、それも味わい。以前使っていた人の記憶のようなものが残っているのがいいなと思います」。木活字でポスターを刷るための平台の印刷機は昨年、特注したものだそうです。このほか、名刺やショップカードなどを作ることができる2台のテキンも置かれています。計3台の機械の共通点は電気を使わず、手作業で印刷をすること。インクを塗るのもプレスをするのも一つ一つ自分の手で行うことが山口さんの活版印刷との向き合い方なのです。取材後、見送りに外に出てきてくれた山口さんは、「春になると川沿いに桜がきれいに咲きますよ。そのころまた、活版印刷の体験がてら来てください」と声をかけてくれました。来年の桜の便りが楽しみです。(取材:内山十子)

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