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achives

2016.11

東福寺に行かねば。『一度は行ってみたい 京都 「絶景庭園」』を読んで。

気ままに観光をするのもいいけれど、何かテーマを設けたり、あらかじめ勉強してから行くと、旅がより楽しめたりするもの。例えば、庭。社寺の庭、町家の坪庭、お屋敷から眺める庭。枯山水とか池泉回遊式とか。そこそこで、単なる庭、以上のモノがあるのです。もちろん、そんな情報や知識を持たずに見ても美しいものは美しい。でも知っているとちょっと奥深さや物語を感じることができるんじゃないかと思います。

『一度は行ってみたい 京都 「絶景庭園」』(烏賀陽百合著 光文社 2015年)は、日本とカナダ、イギリスで庭を学んだ著者がすすめる京都の庭の魅力。ちょっと難しく感じていた庭園の知識が、すらすらと、なるほど~という感じで頭に入ってくる一冊でした。庭はものすごく考えられて作ってあって、当然、それを考えた人がいる。私はもう何年も前から重森美玲が手掛けた東福寺の庭園を見たい!と思っているにもかかわらず、まだ行っていない…。この本を読んで、「早く行かねば!」と気持ちを強くした次第です。

紅葉もそろそろ終盤。駆け込みで秋の庭園巡りをするのもよさそうです。

人にあったらハローと言いなさい。旅の理由

さらりといつも通りに仕事をしていると、ニューヨークに行っていたときのことがウソのように、毎日普通にすぎていくのだけど、それでいい。帰ってきたら、京都は秋になっていた。

私は年に2度、海外に行きたい。そんなに大金持ちでもないのに、なんと贅沢な、と思う。でも、このまま行かずに人生を終えるぐらいなら、あちこち行っておこうと思う。旅に出たい。…のはなぜか、を今日は書いてみる。

最初は、単なるタイミングで出かけただけだった。私が仕事を変えて、正社員でなくなったころに、妹が転職をして、1ヶ月ほど時間が空いた。そんな空き時間、なかなかないね、なら旅行にでも行ってみようか。思えばそれが、大人になって、純粋に海外旅行に行こうと思った最初だった。(その前に2カ所ほど行っているが、それは、勉強や仕事の延長線上のもの)。
行き先はロンドン。理由は英語が通じるから。私は何しろ英文科中退。英語なら少しはいけるかも…という気持ちがあった。ホテルと飛行機のチケットだけを取って、姉妹で個人旅行に出かけた。ところが、行ってみると全然。ぜんぜん通じない。だけど、果敢に「Excuse me」を連発して、ミュージカルのチケットを買ったり、2階建てバスに乗ったり。途中で「思ったより英語が通じない姉」に妹が腹を立てたりして、案の定、険悪なムードになりつつも、私はゼスチャー英語を満喫。通じない英語でアタックすることが楽しくなってしまった。「通じた!」とか、「やっぱダメだった」とか。そんな遊びに夢中になって、自力でやり遂げると、ちょっとしたことが驚くほど楽しい。

その後そのゲームのパートナーは夫に変更された。夫も同じことを楽しいと思ってくれている(と思う)ようで、サンフランシスコ、シアトル、イタリア、タイ、ベトナム、台湾、香港……。とにかくいろんな所へ繰り出して、夫婦して自分試しを始めた。バスに乗れずに延々歩くとか、乗ったはいいけど、おりるところが分からないとか。希望のものが注文できないとか、しょっちゅう。
だけど、「あぁ、私って全然ダメ!」っていう絶望的な気持ちや「こんなこともできなかったら(言えなかったら)子ども以下!」っていう無力感がたまならくいい。言葉が通じないだけではない。考え方、歴史、文化、何もかもがが違う。それらに出合って、その場所の人と出会って理解して、ビックリする。自分の常識とか知識とかが、一気にまっさらになって、別の世界に触れることができる。ヘン…かもしれないけど、なにこれ!ウソ!信じられない!みたいな気持ちがなんだか心地いい。
多分この気持ち、日本にいたら、自分のテリトリーの中にいたら、感じられないからだ。下手したら、何でも思い通りにできる気になって、カツカツヒールのかかとを鳴らして偉そうに歩いている。うまくいかなかったら、すぐに怒ったりもする。そんな自分の首根っこをグッとつかんでグググーと引き戻されて、「はい、やり直し」って言われているような、大きなダメ出しが、私にとっての旅。

ニューヨークはそういう意味ではとっても魅力的な場所だった。

洗礼は最初に来た。最初、というか、いわば国境上にあった。

今回は半分1人旅。空港について入国審査の列に1人で並んだ。前の人が済んでも呼ばれなかったので、「次、いいですか~」ってな感じで審査官の前にでた。

審査官は太った中年の黒人女性だった。スタバのあまそうなフラペチーノをデスクの上においてるのが目に入った。

彼女は最初に私にきいた。Can you speak English?…Yes.と自信なさそうに答える私。思えばここで、私はすでに、完璧に負けていた。

You should say hello, When you see someone.

きょとん、とした私に、その入国審査官は、さらに早口でまくしたてた。「何日いるの?」「どこにとまるの?」。ビビってるから、聞き逃して「は? I’m sorry,What?」とか言おうもんなら、「WHEN!」とか「WHERE???」とか。怖い顔して言う。だんだん腹が立ってきた。まさに、こんにゃろって思った。けど、言い返せなかった。言い返すほどの語学力がないし、ここはアメリカ。アメリカのマナーに従う。

もちろん、それ以後私は「Hello」をいうのを忘れなかった。なんだか吹っ切れた。レジに並んで順番が来たとき、お店に入って店員さんにあったとき。「あーhelloっていうのがそんなにも大事なのね~」って。ほんと基本中の基本。場合によっては「How are you」までがセットだ。レジぐらいでは言わないけど、店に入ったら店員さんに言われる。ちょっとしか会わない人にはいわなけど、もうちょっと話しそうな人には言う。というあんばいか。思ったよりいろんな人に言う。中学生英語、こうやって使うんだなと実感。ロンドンでこんなに「How are you」言ったっけな??

そして帰国後、京都は秋の観光シーズン。私がドリンクバー目当てで原稿を書きに行く、ファミレスも外国人でいっぱいだった。8人ほどの年配の欧米人の団体のオーダーを、英語がそんなに得意でない感じの女の子の店員さんがとっていた。その外国人たちは料理にやけに細かく、「フレンチフライの量はどれくらいか?」「それはこの人とふたりで分けるから、1つでいいんだ」「え?そうなの、私たち分けるの?いやだわ。やっぱり別のにして」だの、ぺらぺらと英語で話した。店員さんは一生懸命応対しているものの、半分はゼスチャーで、自信なさそう。風向きはなぜか店員さんに不利。だんだん弱気になってきた店員さんに、外国人たちは続けて英語で注文の注文をつけていた。「フレンチフライはステーキと一緒に持ってきて」「肉の焼き加減はよく焼いてくれ」。こらっ!ここは日本だぞ!店員さん!負けるな!がんばれ! 英語が話せるに越したことはないけど、ここは日本なんだー! それになんでもうまくいったら面白くないぞ。欧米人。楽しもうよ、外国を。

と、その場で、英語でユーモアたっぷりに…言えたらすてきなのだけど、私はまだまだ若輩者。心のなかで店員さんを応援したにとどまった。でも必ずや、カツカツって音を立てながら、世界中を歩くんだ。

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