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コラム

遅い春に想う。

京都にもようやく春が来た。いつもなら3月下旬から咲き始める桜が今年満開を迎えたのは先週末あたり。花冷えの寒気がやってきて、まだ鴨川沿いも桜のピンクでいっぱい。観光の人もいっぱい。1月から忙しくて、あたふたしている間に、気が付けばもう春。あぁいつの間に。

桜を見に真如堂へ。お目当ては、春日局にゆかりのある「たてかわ桜」だったのだけど、そちらはもう終わりごろ。ザンネン。とはいえ、本堂前の桜やとなりの神社の桜は満開。春がようやくきたことの安堵感と、早く動き出さなくては、みたいな、毛虫の幼虫が土から這い出すような、不思議な焦り。春が来るのが遅かったから? なんだかとにかく焦ってしまう。二十四節季の「啓蟄」(けいちつ・冬にこもっていた虫が土からはい出る)は、今で言うと、3月5日くらい。うむむ、やっぱり出遅れてる。

本堂の裏手にまわると、小さなスズランのような花をたっぷり下げた木が。これはアセビ。馬が酔う木と書いて、アセビ。葉を食べると馬が酔ったみたいになるので、この名前になったとか。小さな花がたくさんついていて、何ともかわいらしい。桜、桜とみんながピンクを追っかけているときに、ひっそりと咲いている感じもけなげ。街中に馬酔木があったら、きっとこの子も主役になれるのに(と、なんだか不憫になったので、大きく写真をアップ)。

そして真如堂は紅葉の名所。境内にはモミジの木もたくさんある。枝の先がちょっと赤いのは、花だそう。秋には主役に躍り出るモミジさんが今は桜のわき役にまわり、主役になる準備を着々を進めているのですな。

事務所のある烏丸御池にいると、季節は気温でしか感じない。こうして歩けば、季節を目でも感じられる。こういうことを上手に表現できるようになりたいと思う、春なのです。