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コラム

東京日記 ギャラリー&書店巡り

なんだかねぇ。なかなか書く気にならなかったんです。とか、大先生みたいなこと言ってみたりして。

いろいろなことを考えていると、あっという間に10月が終わってしまった、というのが実感です。

 

10月の初めに東京に行きました。

私あまり、東京へ行ったことがなかったのです。用事がなくて、興味もなくて。「すっごい都会が延々続いてるんでしょ」。逆に言うと、それだけなんだろうなって思っていました。「何でもあるけど、何にもない。どれも同じなんじゃないの」とか、思っていました。ごめんなさい。間違っていました。

行ってみると、全然そんなことありませんでした。

都会実感編でいうと、地下鉄に乗ろうとしても、すぐに電車が来て便利。結構移動しているはずなのに短時間でいろいろなところへ行ける。しかも、駅の名前がどれも知ってる地名。行ったこともないのに。築地、銀座、六本木、渋谷、恵比寿…行ったこともないのに、知ってる。初対面の地名があまりないから、なぜか安心してしまう。日本全国に流れている情報って、東京中心なんだなぁ(それはなんか嫌だけど)。

到着は夜。一人旅だったので、ホテルの近くの蕎麦屋さんに晩御飯を食べに行きました。そこには白い三角巾を頭にした店員さんがいて、西の方から来た私にはビックリ仰天の黒々としたスープのおそばを運んできてくれました。恐る恐る食べてみると、美味しかった。思いのほかしょうゆ味はきつくなく、なぜこんなに黒いのか?不思議でなりませんでした。スープも飲んじゃうくらいに美味。ううむ。なぜ黒いのだろう。

私のほかには、お客さんはもうひとグループ。サラリーマンのおじさま方が、5人で小さなテーブルを囲んで、天ぷらや油揚げをつまみに、焼酎を飲みながら、若者の愚痴を言っています。

「最近の若いやつはブランドものとか買わないんだよ」とか大きな声で。

服飾関係の方なんでしょうね。でもなんだか和みました。大阪とか京都にもいますから。そういうおじさま。

そして、深尾多恵子さんのライブへ向かったのでした。(レポートは行った後ですぐにアップ済みです)

 

そして翌日は、書店やギャラリーを見に行きました。

今後の自分のお仕事の参考になるような、情報や刺激を求めて。

ここからが今日の本題。訪ねたスポットを感想を交えてご紹介。

 

作って店先で売る。これって商売の基本

SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS

渋谷にある企画編集会社であり書店。「奥渋谷」にあるそうで、渋谷駅から歩いていくと、かなり距離がありました。徒歩15分でついたかどうか…。でも、観光客でもあるので、「へぇ~渋谷ってこんな感じなのか」、香港のザワザワした感じとか似てるなぁと思いつつ。緩やかな坂を登った先にありました。通り側に本や雑貨の販売スペースがあって、ガラスで仕切られた向こう側が会社のよう。編集者さんでしょうか、たくさんの方々が本を作っていました。奥で作って手前で売る。自分の見えるところで売る。なんだか、パン屋さんとか、お弁当屋さんとかと同じ感覚。そういうのってすごく大事だと思いました。(もちろん売っている本は、さまざまな出版社のものです。感覚のお話しですよ、カンカクの)

 

「この本おすすめです」の、本気度が伝わる

森岡書店 銀座店

東京で知り合った編集者さんに、「ちょっと変わった本屋さんとかギャラリーとかありませんか?」とたずねたところ、教えてもらったのがこちら。1週間にある一冊の本とそこから派生したモノのみを扱う本屋さんです。私が行ったのは、週末の閉店間際。今週の一冊は、ある写真家さんの写真集。しかもその写真家さんがいらっしゃいました。「はじめまして」と握手をして、作品について話をしてくださいました。なにせ、前情報がなく、いきなりの出会いだったので、購入するには至りませんでしたが、書店、著者、消費者、この3者のすごくダイレクトな結び付け方! あたたかく1冊の本に向き合って、その本を送り出せる…。お店の方と少しお話をさせてもらって、東京って(都会って、人がたくさんいるところって)、こういうスタイルが成立するところが、うらやましい、贅沢、やっぱいいところだな、と、すっかり東京好きになった瞬間。

この記事に書店のことが詳しく紹介されています。私も行く前に、これを読んで、そういうことか!と思っていきました。

「森岡書店」が銀座でたった一冊の本を売るワケ』Yahoo!ライフマガジン編集部 2016年11月5日の記事

 

見るしかできないなら、たくさん見よう

ギンザ・グラフィック・ギャラリー

森岡書店に向かう前に立ち寄ったギンザ・グラフィック・ギャラリーでは、「組版造形 白井敬尚」(2017年11月7日まで)という展示が行われていました。ライターが書いた文章や写真やイラストをデザインするのを「組版(くみはん)」と言います。活版印刷時代の言葉だそうです。もはや、実物の「版」を組んではいないのでその言葉を使わない人も多いでしょうが。つまりは、紙面を作ることです。私は広告の仕事から入ったので、本のデザインにはまだ分からないことが多いのですが、自分で本を作ったりするときは、読みやすくて、素敵で、内容と合うことを大事にしたいと思います。それをデザイナーさんに伝えねばなりません。手を動かしてデザインすることはできませんから。そのためには、いろんな人の作品を見ることが勉強です。とにかく、美しいものを見て、目を肥やすしかありません。このギャラリー、撮影OKで、たくさん写真も撮ったのですが、やっぱりアップするのは控えます。だって、私が東京まで行って、せっかく目を肥やしたんだもの。

アーツ千代田3331

こちらで開催されているイベントで京都のブックデザイナーさんの作品が出展されていたので、見に行きました。会場は元中学校。京都でも元小学校を活かした空間がありますが(あぁ、立誠小学校はなくなっちゃう…)、こちらでも、元教室で、展示イベントが行われていたり、カメラ講座が行われていたり。カフェもあって。生き生きと使われていました。

展示イベントは、「ニューフェイス’17」(終了しています)。ブックデザインに関わるクリエイター団体「日本図書設計家協会」に近年入会したフレッシュな方々の作品を発表するもの。「この本見たことある!」というのが何冊もあって、こんな方にお仕事お願いできたら…とか、野望が膨らむのでした。

 

というわけです。さて、ここからが大事。私は何をする人ぞ?

自分で自分のことが楽しみになってきた、10月でした。

 

 

 

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