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文と編集の杜について

体を表す名で。社名の由来。

会社の名前っていうのは、聞きなれないうちは変だけど、

何度も言っているうちにしっくりくるようになるんだと思う。

携帯電話の会社なのに、「バンク」ってのは違和感があったし、アルファベット2文字ってのも斬新~と思った。

合併してどんどん名前が長くなっていく保険会社や銀行は、いつの間にか前からあったみたいな顔してる。

 

じゃぁ、自分の会社に名前を付けるとなって、考えました。

しっくりくるまで、言い続けます。

 


 

 

「名前を聞いたらすぐに、何の仕事か分かるほうがいいよ」

こういったのは、以前働いていた広告会社のデザイナー・Iさん。知り合いのカメラマンが独立し、「●●写真事務所」(●●は姓)と屋号をつけたと聞いて、「ストレートだな」って私が言ったときだった。Iさんがフリーのデザイナーとして活動していたころ、その屋号がちょっと変わっていたのだそう。それで「それどういう意味?」と何度も聞かれ、いちいち説明するのが面倒だったり、だんだんと恥ずかしくなったりしたのだと言う。そのときは、「それもそうですね」って返事をした程度のことだった。

フリーとして活動し始めて5年が過ぎた2013年1月。2冊目の本が出るタイミングで、自分の仕事に屋号をつけることにした。そしたらIさんの言葉がよみがえってきて、頭から離れなくなった。「文と編集の杜」という名前になったのは、そういうわけだ。それを今は略して「bhnomori」と言ったりもしているが、正しくは「ぶんとへんしゅうのもり」と読む。我ながら気に入っている。人が何と言おうと。

しばらくたって、アシスタントがやめて求人広告を出した。すると、「文と編集の社」という宛名で、履歴書が何通も届くではないか。「杜」が「社」に見えるらしい。「もり」を「森」ではなく、「杜」にしたのは、「土」から一本「木」が生えて、それが私で、仲間が増えて「森」になったらいいなということと、「土」があって、地に足がついている感じが好きなのに。

ところが、パッと見、認識しづらいのだろう。これでは分かりやすい名前としての完成度が低い…。少し後悔していると、妹が「老人ホームの名前によくあるよね、その〝杜〟」と言った。日本は高齢化社会がどんどん進むのだから、「杜」が誰もが知っている漢字になる日も、遠くはないだろう。でもそのころは自分が老人ホームに入っているんじゃないか?そしたらやっぱり「なんとかの〝杜〟」って名前のところへ入れたらいいなと思う。

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